林業研修4日目は雨で山に入って実際に木を倒木することは出来ず、講師の菊池さんが林業について詳しく話をしてくれた講習になりました。その中でも一番印象に残っている話をここで紹介したいと思います。
ちょっと待った。いきなり林業を専業にするのは難しい!
今回、僕が参加している講習もそうですが、近年林業が稼げる。その言葉を誘い文句に現職を辞めて林業に飛び込む人が増えていますが、実は現状新規で林業に参入してきてもすぐに稼げる土台は整っていないのが現実です。
特に「移住をしたい」と思っている人には、林業で独立という言葉が非常に魅力的に聞こえて先走ってしまう傾向があるように感じます。
その背景にイケダハヤトさんなど高知に移住をして成功を収めている人がSNSで情報を発信している姿を見てその気になってしまう人が増えている現状にあると思う。そう思った理由は次の記事を読んでからです。
林業はまだまだ雇用を生み出すことができるんです。
よく考えればそれはそうで、ぼくが住む本山町の山奥なんかは、周りは木材だらけですから。下の写真、見てください。これを切って売ってお金にならないわけがありません。今まで手付かずだったのが逆に不思議なくらいです。
http://www.ikedahayato.com/20150817/39928573.htmlより引用
いかにも「地方には木が沢山あり、その木を切って売ればお金になる。なぜやらないのか不思議」
と言ってるように感じます。ただ、現実はそんなに甘くありません。
整備をしていない山は、収益を生まない。
みなさん良く勘違いするのは、木を切って運び出せば売れて儲かる。
そう思っている人が意外と多いですが現実は違います。
林業は、定期的に山を整備して育林していかないと価値が上がることがないどころか、手入れをしていない山は、木材として売ることが出来ず、薪やバイオネス燃料でしか木を売ることしかできないことがざらにある。
そして現在の山は定期的に整備をしている山は少なく、資産として考えることの出来る山は少ないのが現実です。
林業とは次の世代へ繋ぐ仕事
もうわかった方もいると思いますが、林業は長期的スパンで物事を考えるので新規で参入した場合、今すぐに収益を生むことが極端に難しい現実とぶち当たります。
野菜の場合、種をまいたら一年後には出荷できるようになりますが、林業の場合は一年たっても出荷なんてできるわけがなく、30年ほど育てないと出荷が出来るレベルの木に育ちません。
30年スパンで考えたとき30年後あなたは何歳になっていますか?
長いスパンで次の世代に良い山を繋いでいく。それが林業の真の姿です。
収益中心に考えた結果、ぼろぼろになっている山がたくさんある。
しかし、次の世代のために山を手入れして育てていく人ばかりではないのが現在の林業の現実です。例を挙げると、事業形態の林業は山で重機を振り回して切る木以外の木を傷つけて切り進めていく業者も実在します。
このような業者がいるとどんなことが起きるかというと、次山を整備するとき、木が傷つき売り物にならない木が多く存在してしまい、山としての価値をなくしてしまうのです。
山を守るためにも兼業で、山と共存する
正しく自伐型林業やっていくと林業を本業としてやっていくことは難しいと、長年林業に携わっている菊池さんも語っていて、副業でしか林業はなりえないというのがたどり着いた結論と語っていました。補助金をもらいながらやっていけば別の話ですが、補助金を貰わずにやっていくとなるとこのようなやり方にたどり着くようです。
林業で独立してみたいと思っていた人がもしこの記事を読んでいただけたらもう一度考えてください。焦って林業に飛び込んでもいいことはありません。休日等を利用してまずは林業を体験してみてはいかがでしょうか?